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収納と居住空間

青空と雨が交互にやってくる時期です。

すこし暑かったり、すこし寒かったり・・・

でも 自分で寒暖を調整できる気候ですから いいですよね。

好きな季節です。


先を見据えますと、夏を迎える=「ころもがえ」がやってきます。

そこで家の中・・・特に収納スペースが気になるわけです。


冬服と夏服を入れ替えたり、クリーニングに出したりする中で、「もっと広い収納があればいいなぁ」、「この機会に断捨離しようかな」など悩みながらの作業となります。


新しい家づくりの時点でも話題になるのが、「適切な収納スペースの大きさ」です。

これに関して、私はまず「収納スペースは皆さんのライフスタイルを映し出す『鏡』のようなものですよ」と伝えます。買うのも売るのも御自身の意志からスタートします。保管するのも捨てるのも自分次第・・・。




そうしてたどり着くのが、「標準・平均・普通サイズという定義はないと思ったほうがよい」という事実です。自分そして家族を見つめなおすタイミングです。


収納の大きさを計画に反映させるため、我々は皆さんに「保管する荷物を数値化しましょう」と促します。難しいことではありません。「手元にある衣類・バッグ・書物・趣味のグッズを一列に並べたらどのくらいの長さになるか?」、「将来、それはどのくらい増えると想定するか?」・・・ここを定めることで、洋服であればハンガーをかけるためのポールの長さが決まり、既製の収納ボックスであれば何段何列=計何個のユニットを並べるか決めることができます。



希望(したい!)を意志(します!)に変換するための「数値化」です。

図面を描く者からすれば、数値化していただくことでコミュニケーションが成立すると感じます。ニュアンスが具体化します。明快です。


数値を決めることができれば、以降は、そこに寄せてゆく思考が始まります。捨てるもの、残すものも明らかになってゆきます。捨てるのが「もったいない」ではなく、使わないものを残すために空間を広げるのが「もったいない」こともあります。この匙加減を設計段階で話し合うことが多いです。


吟味されて実現した収納空間は、家族の特徴を示すものとなります。

寝室と連続した収納空間をのぞむ際、扉を設けないウォークインクローゼットを希望する方が増えてきました。見せることのできる「整った収納」は、ライフスタイルを即時に映し出す場でもあります。



趣味の収納空間は、さらに夢を示す空間となります。「本に包まれて暮らしたい」という奥様の夢をかなえた読書ルームは三方向の本棚と、床を30cm下げたテーブルを設けました。さらには、寝室に向かう扉を「可動式マガジンラックとし、全方向に本がある空間を創ることができました。



建築の場合、ひとつの望みや理想を具体化するため・・・まず数値化しましょう。そのためには、メジャーを持って家の中を計測する習慣をもつとよいと思います。健康診断に同じく日々の測定が大切なのは、住宅設計も同じ。もちろん、日常生活でも大切・・・健康な住まいであり続けることができます。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。



(久保田 正一)

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