高台からの素敵な風景とともに
~ excellent view
見晴らしのよい土地を求めて
問い合わせをいただいてから2年を経て完成した住宅である。まずは建設地の選定からスタート・・・「眺めのよい土地」は高台に位置することが多い。遠景をみはるかす敷地として多角的にリサーチして見つけたのが、この地である。市街地からほど近く、日常生活の利便性も十分であることから、この地での計画を進めることとした。傾斜地ゆえ、建物をセットバックさせて安全性を十分に保ちつつ、西の庭ごしに風景を感じる建物配置とした。くわえて、トンネル状にスルーできるビルトインガレージの採用により、最大4台の駐車スペースを確保することを決め、細部の検討に入っていった。
ヘリンボーンの床
クライアントから最初にいただいた希望は「リビングルームをヘリンボーンの床にしたい」であった。ヘリンボーンとはニシンの骨。フローリングを交互に斜め貼りする。材質はオーク。スモーキーな色合いが落ち着いた雰囲気を醸し出している。そこに気のきいた北欧系のチェア、ソファ、ダイニングテーブルを置くことで、若干のドレスダウンを施した「いい感じ」を生み出している。センスのよいクライアントとの出会いがクオリティを高めている。よき設え(しつらえ)を見ることができる。
ヌックのある家
もうひとつの希望が「ヌックのある家」であった。ヌックとは、こぢんまりとした居心地のよい空間・・・スコットランド語の「neuk」が語源とされる。暖炉脇の暖かな腰掛け(イングルヌック)の快適なイメージから、この言葉が使われるようになった。このイングルヌックは近代住宅史に登場している。大正期、日本の住宅がリビングルーム中心の構成に変わっていく中、西村伊作が欧米に渡航して得た知識をもとに新しい家を生み出している。彼の説く新しい住まいには、「Snug/Cozy(心地よさ、温かさ)」を重視したイングルヌックがあった。そして、この家にも素敵なヌックがある。
マイ・ライフスタイル
住宅計画は、クライアントの生き方や考え方が明確であるほど建物や庭といった内外空間に特徴を持たせやすい。久保田建設の設計スタイルが「お客様の声を聞きながら整えてゆく」ものであるからだろう。対話によってデザインが成長してゆく。そのうえで見出されたのがへリンンボーンフロア、ヌック、斜め壁の寝室、クールテイストの書斎、ビルトイン・スルーガレージである。こだわり=ライフスタイル・・・住まいは、それを具現化する「結晶」なのかもしれない。