高台から海を眺める家
~ outdoor and indoor living style
憧れの平屋住宅に近づけるプラン
計画は土地探しからスタートした。最優先された希望は「眺めのよい場所」・・・憧れの地を手に入れるため、多くの候補地を見た。いずれの土地も高台である。山を見る、街を見る・・・数々の地の中から選ばれたのが海を見る場所であった。この地で平屋の住宅計画を進めることとなった。最近、平屋住宅の人気が高まっている。これはアウトドアライフとの連携を望む家族が多いからである。家にいる時はリビングからガーデン、さらには周辺環境までつながる風景を楽しみ、荷物をまとめてキャンプに出かけることも視野に入れる・・・このようなライフスタイルでは昇降の少ない水平移動が好まれる。平屋への夢は、この動線に由来すると思われる。
大きな屋根に包まれたロフト的な上階
敷地が決まったら次は建築計画である。高台敷地は建物配置によってコストが大きく変わる。高低差があるエリアに建物を持ってゆくほど深く杭を入れる必要がある。構造の安全を保つため、目に見えない場所でのコスト負担が発生する。今計画では、眺望のよい最前列に人工芝のオープンスペース、次にウッドデッキを置き、その後ろにリビングルームがつながっている。「平屋住宅」から計画をスタートしたが、上記の理由から建物規模を縮小する検討を進めている。メインスペースは全て1階に置き、サブスペース(将来利用予備室、クローゼット、多目的ホール)を大きな屋根の下に生み出された勾配天井下に置くロフト的な空間を上階に設けた。生活形態は平屋住宅に等しい。
環境にやさしいZEHの家
平屋のような家を覆う大屋根の上には多くの太陽光パネルを搭載することができた。そしてウッドデッキ上には軒深の空間が生まれた。視界の行く先は東に広がる駿河湾・・・大開口はこの軒下に限定されていることで断熱計画も効率的なものとなっている。スタイリッシュな建築形態を有しながら、ZEH(ゼロエネルギーハウス)性能も有するこの住宅は、アウトドアライフを好む家族のもつ「自然とともにある・環境を感じながら生活する」という視線と同じ方向を向いている。住宅地でありながら別荘地のような生活が堪能できる・・・これこそ現代的なライフスタイルと言えるのではないだろうか。
空間と一体化したリビングスペースとウッドデッキ
大屋根の下にはリビングスペース、ダイニングスペースがある。そのうしろにキッチンスペースを持つ。床やカウンターは、シックなブラウンで統一され、階段手すりや照明器具、レンジフード、金物はブラック、壁はホワイトでまとめられた。また、勾配天井は構造木材をあらわしたブラウン、水平天井は壁に同じホワイトとした「ルールをもったコーディネート」が展開されている。軽快なアイアン手すりを持つ階段と天井が同種の勾配をもつことで、空間の一体感を示すことができている。窓の外に広がるウッドデッキは、その一部がランドリースペースと連携している。そこに木製ルーバーを設けることで、視線への配慮をなしつつ、使いやすい場を作ることができた。