top of page

「らしさ」の表現

更新日:2023年3月15日

2022年度 後期 関東学院大学で講義を担当しました。 テーマは「住まいの生活文化史」です。江戸から明治~大正~昭和と続く時代において日本人はどのような文化を創りあげたか・・・住生活に着目しながら語るものです。 初回の講義において、私は以下のように話しました。



日本人は「~的な、~風の、~のような、~らしい」という言葉を使います。「まさにそのもの」を示さずとも、ニュアンスを伝えることで、聞き手は相槌を打ってくれます。 あまりにイメージがかけ離れていると さすがに「わかりません」となりますが、日常会話では「わかるわかる~」という返答によって話がつながります。 曖昧ながらも共感を得るところが日本人的という点は理解いただけるのではないでしょうか。これは今に始まったことではありません。講義をとおして「らしさ」について考えてみましょう。

(旧開智学校 1873)


「和風住宅」と「日本住宅」は違います。 「洋風住宅」と「西洋住宅」も違います。 前者と後者は設計手法、施工方法が違うことがあります(同じ場合もあります)。 しかしながら「~風」であってもなくても受け手は近しい感覚を得られるようです。


近代において擬洋風建築、和洋館並列型住宅、和洋折衷建築などと命名された建築は、和や洋に対する「らしさ」を求めること、スタンスを定めることで、その意義を示します。



現代においても「らしさ」を求める場面は、いくつもあります。 数年前、レストラン・オーナーの住宅計画で「らしさ」を考えながら設計しました。

クライアント最大の希望が、「ゲストを招き、外部と連続した開放的な暮らしをしたい」ということでした。個室を作らない大きな場を求めたのです。


希望を整えるにつれ、住宅よりも店舗の「らしさ」の要素が多くなりました。店内での動きを自宅にも展開したいという気持ちがベースとなったことによります。

それを受けて「コンクリートのキッチン、リビングフロア、ステージ」を提案しました。

1階のキッチン、リビングフロア、ステージは基礎工事の段階で施工完了しています。通常、キッチンは内装仕上げ終了後に設置しますが、このプロジェクトでは上棟前にコンクリート打放しのキッチンが出現したのです。


コストと規模を考え、建物は木構造としました。シンプルそしてモダンな構造・デザインです。木造住宅の中にコンクリート床と鉄骨のらせん階段があります。

一見して木造には見えませんが、木造住宅です。

久保田建設の設計は「発明」よりも「発見・編集」が中心となります。ヒアリングから導き出された心豊かなモノ・コト、楽しい未来イメージを織り上げます。「PLUS ONE LAYER」というコンセプトは、これによるものです。


パターン化されることのない建築デザインはヒアリングによって生まれる・・・本質を等しく丁寧に整えてゆくことでテイストとクオリティが守られます。これからも「PLUS ONE LAYER」による幸せな空間をつくってゆきます。ご期待ください。



■施工事例:コンクリートをインテリアに採り入れたオープンフロアの家



今回は話が長くなりました。恐縮です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


(久保田 正一)



【追記】

2022年 女優 常盤貴子さんが京都工芸繊維大学名誉教授 中川理先生と京都の近代建築をめぐる番組が放送されました(BS11)。興味深い歴史的建造物が数多く紹介されています。


■京都画報 第13回「近代建築の都をめぐる」



閲覧数:65回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page