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4月 新生活に必要な空間

和室


例年にも増して月日が早く過ぎゆくような・・・国内外のニュースに目をやる間も暑くなったり寒くなったり黄砂がやってきたり・・・様々な「気づき」に囲まれる毎日ですね。



多くの方が新生活のスタートを迎えることでしょう。

新しい学校、職場、土地へ・・・それは自分が存在する日常空間が変わることを意味します。

爽やかな空気を感じるタイミングです。言い換えるならば、自分と「空間」の新たな関係性の誕生・・・物語が始まります。



ここで、もうひとつのファクター「時間」を話に加えましょう。

 


「空間」の対比は静的な装いを持って語られがちですが、そこには多くの経験と記憶を有する「私」がいます。過去・現在・未来・・・その瞬間によって全てが変わります。



30年ぶりに母校の小学校を訪問した際、教室の椅子・机が、とても小さなものに感じられました。当時は、そう思わなかったのに・・・。



大学時代、ゼミの授業の一環で、茶室をめぐる機会がありました。わずか数帖の床、頭がつきそうな天井、にじり口を介して入る庵・・・何の心得もない私は「こんな狭小空間は快適なのだろうか?」と思いにとどまっていました。

 


そして今、「大人の目」を通してみると・・・小学校は家具・什器が「ものさし」となっていたことを知り、茶室は人体寸法・動作寸法を基準とした構成であることを知ります。すべては受け手である人間の空間対比、時間対比によって評価されるということです。

 


価値観やトレンドは不易流行・・・成長・進化・循環・卒業があります。物質的エイジングの話だけではなく、身体と意識の変化にも一因がある事実に気づきを得ます。

 


子供の頃、苦手だったシイタケやピーマン・・・今は美味しく感じます(笑)。

 


建築においても、古きもの・新しきもの それぞれのよさを受け容れることができますし、大切さを味わうことも「愉しみ」となります。利便性、合理性、快適性・・・それ以外の価値指標も含めて・・・これからも「空間・時間」を味わいたいと思います。

 


最後までお読みいただき、ありがとうございました。





(久保田 正一)




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