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9月 待ち遠しい秋 おはぎの構造と人間の受容感覚


 暦を見ながら涼しさの感覚を脳に教え込んでゆく9月・・・「暑い」という言葉は言い尽くしました(笑)。

 この時期、車に乗っている時がキツいです。日の入りも早くなり日照時間も日々短くなっているのですが、太陽光の入射角度が低くなるため、ナナメ横から熱線が・・・。落ち着くまで・・もう少し・・・


 私は秋が好きです。9月生まれということもあるのでしょう。澄んだ空気の中、平らかな心持ちで思索にふける・・・木々の色づきに感覚が研ぎ澄まされ、食への興味も増して・・・お彼岸を前に、おはぎを買いました(笑)。


 おはぎは「内=米 外=餡」で成立しています。内の米は軽く握られ、外に小豆のつぶ皮を残した餡が覆う・・・そんな二層構成。内包された米に比べて外周餡の成形には強い圧力がかかっておらず、餡の粘度で形態を維持~ソリッドな米をメッシュのような餡で包んでいる~ 建築構造っぽく記すと、こんな感じです(笑)。


おはぎ
<庭の木々の力を借りて撮影したワンショット>

 

 ここでふと・・・「おはぎの内と外が逆になったら、この食べ物は何なのだろう?」などと、どうでもよいことが頭に浮かびまして(笑)。外皮がよく練られたもち米であれば「餅」、よく握られたうるち米ならば「おにぎり」・・・おはぎは、もち米だったりうるち米を混ぜたりと、店・地方によって少しずつ違うようで、確固たる定義づけが難しいのかも。そこに加えて「おはぎ」と「ぼたもち」という呼称も並走していて・・・春に咲く牡丹(ぼたん)から「ぼたもち」、秋に咲く萩(はぎ)から「おはぎ」となったというのが通説です。まぁ食する我々としては「違いはわからないけど問題ないですね」という体で先に進みましょう(笑)。


 戻りまして・・・「おはぎの素材構成が内外逆転した時、人はどのように思うか」・・・現代人は視覚情報の受容によって判断認知することが多いものです。「視覚情報に優位性あり」と言ってもよいでしょう。内外逆転したものを「餅」と認識すれば「菓子」です。「おにぎり」と認識すれば「食事」です。しかし、具が「あんこ」のおにぎり・・・そう思って食べると、違和感いっぱいでしょう。成分は変わらないので、食べてしまえば栄養的にもカロリー的にも同じ。視覚で判断された「味覚のイメージ」があるのです。かつて京都の甘味処で、はじめて黒蜜がけの甘いところてんを食する時のインパクトを思い出します。「酢醤油にカラシ」で育った私にとって、この作法は なかなかなものでした(笑)。ちなみに今は大丈夫です。視覚情報過多の現代社会の参考書として・・・かつて読んだ「グーテンベルクの銀河系」と最近手にした「建築と触覚/空間と五感をめぐる哲学」を想起します。建築だけでなく空間全般を把握するためには、全感覚をすべからく使って認識するよう心がけたくなるものです。それをもって感動と記憶を整えてゆきたいと思います。


 ここでAIを使って試作したら・・・率直に言って、ふつうの「おはぎ」がいいです(笑)。


おはぎ

 こんな戯言を思うことで脳が活性化され、秋の始まりを感じる・・・ということで・・・御甘受ください(笑)。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


(久保田 正一)


参考:







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